
ここに書いてあること
サイト上で見られる、動物病院がNAC目薬を使わない理由について、どのようなことを言っているのか、どのような事情があるのか、について、すでに記事にしていますが、今回は、さらに別の件のものを調べてみました。
NAC目薬を使わない理由を確認してみた
今回は、くじら動物病院に記載してある、以下の内容についてです。なお、本記事は、該動物病院のあげ足をとったり、貶めたりする意図は全くありません。
N-アセチルカルノシンは白内障の白くなった部分を溶かすことで透明にするのではないかと考えられています
白い部分を溶かすということは同時に炎症も起こります この薬の最大の欠点は重度の副作用だと言えます
(ピレノキシン、グルタチオン、抗酸化サプリメントなど)全てにおいて共通なのは効果に医学的証明がされていないということ 証明するのがすごく難しいんだな!これが!
上記を箇条書きで抜き出すと以下のようになります。
- N-アセチルカルノシンは白内障の白くなった部分を溶かすことで透明にするのではないかと考えられている。
- 白い部分を溶かすということは同時に炎症も起こる。この薬の最大の欠点は重度の副作用(前記の炎症をさしていると思われる)だと言える。
- (ピレノキシン、グルタチオン、抗酸化サプリメントなど)全てにおいて共通なのは効果に医学的証明がされていないということ。
まず、1.については、NACに関する論文でその記載があるので、それと一致する。
2.については、そうなのかもしれないが、なぜそうなるかの論拠が挙げられていない。根拠となる論文、事例を指摘してもらえるとよい。副作用とは「白い部分を溶かした際の炎症」のことを指しているようだが、何か経験があるのかもしれないけれど、それが「重度の副作用」である根拠、事例を挙げられていない。かなり強い断定の表現の割には根拠の記載がない。
3.については、ピレノキシン(ライトクリーン)は臨床試験を行っていて動物用医薬品として登録されているので、その点では医学的証明がされているはず。グルタチオンも同様。あるいは医学的証明とは別のことを指しているのか?メカニズムのことをさしている?抗酸化サプリメントについては不明。
また、NACについては論文で臨床試験の結果を述べたものがいくつかあります。たとえばこれ ↓
- Mark A Babizhayev et al, Drugs R D. 2004;5(3):125-39, Lipid peroxidation and cataracts: N-acetylcarnosine as a therapeutic tool to manage age-related cataracts in human and in canine eyes
- Mark A Babizhayev et al, Drugs in R & D volume 3, pages87–103(2002), Efficacy of N-Acetylcarnosine in the Treatment of Cataracts
以上、指摘させていただきました。こちらの方はNAC目薬の知見がかなりある方とお見受けします。やはり、副作用をとても警戒されていて、慎重な記述となっているのが、印象的でした。
NAC目薬を治療で使用した経験はないだろう
さらにこちらの執筆者の方は、以下についても述べておられます。
じゃあN-アセチルカルノシンはだめなの?
いやいや、実際くじらの病院に来た飼い主様の中にはN-アセチルカルノシンを使用している方がいますし効果の出ているわんちゃんもいますから全然だめってわけではないです
た・・だ・・し・・!!
副作用が恐ろしいので必ず動物病院で定期的なチェックを受けるようにしてください 特に、すでに炎症があるような眼に使ってしまうと
緑内障や前房出血の原因になる可能性がありますので使う前に相談するようにしましょうね^^
こちらの先生は、やはり、ある程度、NAC目薬のことをご存じのようです。上記のように、NAC目薬を使うのであれば、定期的なチェックを動物病院で受けてください、とのアドバイスがありました。