
ここに書いてあること
犬の白内障の種類について解説します。今回は、その4回目で、原因による分類をご紹介します。
混濁の程度による分類とは?
犬の白内障を分類する場合、次のような観点で区分が行われます。※
- 発症年齢による分類
- 発生部位による分類
- 混濁の程度による分類
- 原因による分類
※(参考) JVM Vol.55 No.3,2002 私の診療シリーズ、小動物の眼科診療12 白内障Ⅰ 太田充治氏
本記事では、4の「原因による分類」について、解説します。
原因による分類
白内障の中には、ある特定の疾患などが原因となる場合が あるが,すべての白内障が原因による分類が可能であるというわけでなく、むしろ原因が分かることのほうが少ない、とのことです。
原因 による分類 | |
外傷性白内障 traumatic cataract | トゲや猫の爪,あるいは著者の病院でこれが原因になること は少ないが弾丸などによる角膜穿孔創が水晶体前嚢に達し, 前皮質の水晶体線維が損傷を受けると白内障を生じること がある。通常白内障の混濁は外傷のあった髪の部分を中心 にして限局しており、ある期間を経過したらそれ以上の 進行をみないことが多い。しかしながら弾丸によるもの では水晶体全体に混濁が及ぶこともある。 |
糖尿病白内障 diabetic cataract | 糖尿病に罹患した動物のほとんどは白内障を併発する。 この白内障は初期には赤道部皮質に空砲形成として現れる が、数日で成熟白内障に発達する。3歳齢以上で急速に発 達 する白内障に遭遇した場合は必ず血液検査等により 糖尿病 か否かを確認しなくてはいけない。 糖尿病白内障も白内障手術の対象となるが、手術を行う 前に最低3か月はインスリンによって血糖値が上手くコン トロールされており、肝不全や腎不全を併発していない 必要がある。そうでない糖尿病患者に手術を行うと術後 の合併症の可能性が高く、それに対して使用する薬剤 (特にステ ロイド)も糖尿病によって制限されるので、対処 が非常に困難になるからである。 |
※(参考) JVM Vol.55 No.3,2002 私の診療シリーズ、小動物の眼科診療12 白内障Ⅰ 太田充治氏
愛犬が糖尿病の場合には、たいてい、白内障を発症するそうなので、十分な健康管理をするように心がけましょう。