
ここに書いてあること
ある動物病院での、犬の白内障手術を行った際の、術後の経過について報告しているものがありましたので、別件のものを紹介します。犬の白内障手術を行った際の成功率をやや具体的に報告しているものです。犬の白内障手術を検討されている方には参考になるものと思います。
犬白内障手術の術後の状況例
今回は鳥取大学農学部の報告書を基に、下表を作成してみました。
対象期間/ 対象病院 | 4年間/ 鳥取大学農学部附属動物医療センター |
手術内容 | 白内障罹患犬への 超音波水晶体乳化吸引術 |
犬の頭数/眼数 | 頭数は不明/25眼 (犬種内訳) トイプードル…11眼 M. シュナウザー…4眼 M. ダックスフンド…3眼 その他5犬種…7眼 |
術前の併発疾患 | 60% (ブドウ膜炎や緑内障など) |
また、下表は、犬白内障手術の術後の症例の内訳とその割合、となります。
眼内レンズが挿入できた割合 | 96% |
合併症発生率(術中) | 0% |
合併症発生率(術後) | 80% |
術後合併症のうち ・視覚に影響を及ぼす可能性のある疾患 ・経過観察/内科療法で対処可能な疾患 | 15% 85% |
最終観察時の視覚の回復率 | 92% |
私の感想です。
今回の事例では、あまり情報が公開されていませんが、おおよその傾向を伺い知れます。
さて、私がこれらの結果をみての感想は以下の点です。
- 術後の合併症の発生率が、なんと80%もあること。
- 手術前に、ブドウ膜炎や緑内障の疾患があっても手術が可能であること。それらの疾患の手術への成功率への影響については記載がない。
- 白内障手術をしたのに、眼内レンズが挿入できない場合があること。この事例では4%。
- 最終の視覚の回復率は92%だが、その内、視覚はあるが、予後不良の率が不明、記載がない。
- 術後合併症のうち、視覚に影響を及ぼす可能性のある疾患があった割合は、80×15%=12%のはずだが、これが結局、どのような結果になったのかの記載がない。
こちらの病院は、術前の疾患を持った患者を施術しているようなので、難しい手術を請け負っている先端医院なのかもしれませんが、最も、驚くのは、術後の合併症の発生率が80%であったということです。