
ここに書いてあること
犬の白内障、と言ってもいろいろあります。数回にわたって、「犬の白内障の種類」について、解説していきます。今回は、「発症年齢による分類」での観点からの犬の白内障です。
白内障の分類の観点
犬の白内障を分類する場合、次のような観点で区分が行われます。※
- 発症年齢による分類
- 発生部位による分類
- 混濁の程度による分類
- 原因による分類
※(参考) JVM Vol.55 No.3,2002 私の診療シリーズ、小動物の眼科診療12 白内障Ⅰ 太田充治氏
本記事では、1の「発症年齢による分類」について、解説します。
発症年齢による白内障の分類
発症年齢による白内障の分類では、以下のように分けられます。
先天白内障 | 出生時あるいは出生後まもなく(生後6~8週齢以前)にみられる白内障です。 通常は進行が緩徐で、その他の先天性眼異常※を合併していることが多い。 ※巨大眼球、瞳孔膜遺残、第1次硝子体過形成遺残:PHPV |
若年白内障 | 生後1~6歳齢の間にみられる白内障。 外傷、糖尿病、中毒、放射線照射など特定の原因が除外される場合は遺伝性である可能性がある。 進行は通常早く、両側性であることがほとんどである。 |
老年白内障 | 6歳齢以上になってみられる白内障。 通常は赤道部皮質から始まることが多く、進行は比較的遅い。 |
核硬化症は、白内障に分類されないことに注意
水晶体の老年性変化で、「核硬化症」というものがあります。


「核硬化症」は、獣医眼科学領域では白内障とはみなされないので、注意が必要です。これは色素を帯びておらず、光を十分透過させて眼底の観察ができるから、という理由だからです。
「核硬化症」は白内障ではありませんが、初期の白内障を併発している場合が多いので、注意が必要です。
※(参考) JVM Vol.55 No.3,2002 私の診療シリーズ、小動物の眼科診療12 白内障Ⅰ